夜能特別公演を見てきました。
いつも通りのような?
エントランスに入ると消毒液が置いてあり、体温の測定がありました。
取り置きを頼んだチケットは、現金のやり取りをなくすために後日先生にお支払いという形で・・・
チケットのもぎりは自分でもぎって箱の中へ。
さらには名前と電話番号、入館時間を所定の用紙に記入して申告。
座席は市松状に間引いてあって、ドアも解放されてます。
これなら能楽クラスター内のクラスター発生の心配は少なそうです!
ロビーには牡丹の作り物と獅子口の面2種類が飾ってあってうっとり~💕
5時30分開場で6時30分から宝生流宗家 宝生和英 氏と日置貴之 氏(この方は明大の准教授になられたの?)のお二人による対談形式での解説がありました。
この解説が微妙にもやもやしていたことを解決してくれました!
宝生流の石橋でなぜ間狂言が出ないの?
そもそも、石橋って披きものですよね?さらに小書き(特殊演出)でもアイが出てこないの?って思ってたんですが・・・
(※披キ=その曲を演じるに相応しいと宗家に認められ、許しを得て周囲に初めて披露すること 石橋、道成寺、猩々乱など)
宝生流の謡本には前シテは”ツレ”となっているんですよ!
そう、宝生流では前シテ(ツレ)は後シテとは別の人なんです。
観世流などでは前シテが中入り後改めて後シテを舞います。そうなると着替えの時間が必要となりますので間狂言が必要になりますよね。
逆に、前シテはあくまでツレという立場であれば、後シテは最初から装束を付けて待っていることが出来ます。
宝生流の石橋 連獅子って何だかずいぶん特別扱いじゃない?
公益社団法人宝生会さんのホームページによると・・・
宝生流宗家というのはずっと同じ血統で続いているわけではなく、他流や親族、ワキ方などを養子として家を継いでいることがわかります。
もちろん、宝生流宗家の子供も他流の家に婿に入ることもありますし、もともと世阿弥の兄弟、娘婿、その子供という関係なのでもともと親せきと言えば親せきなのですが。
その中でも、6世、12世が金剛大夫の子で宝生流に養子に入っています
その際、引出物のようなものとして金剛流から贈られたのが石橋連獅子と巻絹(小書きのないもの)だそうです
その結果、金剛流では連獅子と小書きなしの巻絹は廃曲となっていました
(連獅子の方は石橋 和合連獅子として復曲、巻絹は五段すべてが神楽で舞われるそうです)
養子に入るときに持ってきた他流の演出という事で、本当に特別な時に宗家のみが演じるものだったようです。
ちなみに、宝生流には連獅子のとき専用の二面一対の獅子口があるとのことで今回もその面が使われました。
※能面って一枚(いちめん)もしくは一面(いちめん)どちらにせよ”めん”って数えるって知ってました?にゃんぶーさんは知らなかったので調べました。
ちょっとした小ネタとして・・・
獅子が首を振るときは∞の形で振っているとか・・・
同じネコ科の動物でもライオンではなく虎のイメージであまりドスンと音を立てないニャーとか
そんな感じのお話がありました。
今回の演出に関して気になっていた
前シテ(ツレ)が尉になっていること
子供も老人も同じく、世の理から抜け出た存在という位置づけという事でした。なので、普通の若者ではだめなんでしょうね。
今回の石橋連獅子を実際に観て
控えめに言ってサイコーです。なんだか目出度いです。オリンピック期間中であったら外国の方にも喜んでいただけただろうと思います。
いきなり感想書いてスイマセン
まず、一畳台は正面右手に赤の牡丹、正面左手に白の牡丹、正面からシテ柱に向かって斜めに薄ーい桃色の牡丹でした
シテは老人で右手に杖、左手に柴を束ねたものを片に掛け、ゆったりと重々しく谷底を覗き見る様子がいかにも神秘的な感じです
前半はかなり短めになっていて、シテの一声の後、上歌の最後まで省略です
中入りまで37分でした
後半は
まず、元気に子獅子(赤)が飛び出し、そのあとゆったりと親獅子(白)が舞います。
基本は左右対称に獅子が舞いますが、元気のいい子獅子と威風堂々として子供を見守るような(中の人は実際親子なんですけどね)親獅子の対比がとっても面白かったです。
後半約15分、合計で52分ほどでした
比較的短く、お話も分かり易いので、初心者の方にもおすすめです。
お能ってなんか堅苦しそう・・・って思っている人にもぜひ能楽堂に足を運んで欲しいと思います。