茶書を読む 山上宗二記 6

その比 天下に御茶の湯仕らざる者は 人非仁に等し
諸大名は申すに及ばず 下々 洛中洛外 南都 堺 悉く 町人以下まで
御茶の湯を望む
その中に 御茶の湯の上手 ならびに 名物所持の者は
京 堺の 町人等も 大和 大名に等しく 御下知を下され
ならびに御茶の湯座敷へ召され お咄の人数に加えらるる

その頃、世の中で茶の湯を行わない者は 人で無いものに等しいという有様であった
諸大名は言うに及ばず 下々の洛中洛外、奈良、堺まで悉く、町人以下の者まで
茶会を催したがる
その中で、茶の湯の上手ならびに名物を所持している者は
京都、堺の町人たちも奈良に住まう者、大名にも等しくご命令なされ
茶室に召し出して御伽衆に加えられた

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茶書を読む 山上宗二記 5

それに就き 禅宗の墨蹟を専ら用い 
一休和尚より珠光 圓悟の一軸を申し請け
これを数寄の一種に楽しむ
斯くの如きの時は 仏法もその中にありと 
深更に及び 涙を流し言上いたす
公方様御感ありて 即ち珠光を召し上げられ 
師匠と定めおかれ ご一世の御楽しみはこの一興なり

それに就いては 禅宗の僧侶の墨蹟を専ら用い
珠光は一休和尚に請うて 宋代の禅僧、圜悟克勤の書軸を譲り受け
これを風流の楽しみとして用いた
このような時は、仏の教えもその中にありますと
夜の遅くなるまで涙を流してお話申し上げる
義政様は感動し すぐに珠光を召し上げられて
師匠となさりました また、この遊興(茶の湯)を一生涯のお楽しみとなされた

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