茶書を読む 山上宗二記 12

口伝 密伝あり
茶湯者というは 松本 篠 両人なり
数寄者というは 善法なり
茶湯者の数寄者 古今の名仁と言うは 珠光ならびに引拙 紹鷗なり

目利きに関して、口伝、密伝がある
茶の湯者というのは、松本珠報 篠道耳の二人のことである
侘び数寄の数寄者というのは粟田口善法のことである
茶の湯者の数寄者、古今の名人というのは 珠光、鳥居引拙それから武野紹鷗だ

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茶書を読む 山上宗二記 11

また 侘び数寄というは
一物も持たざる者
胸の覚悟一つ 作分一つ 手柄一つ
この三か条調うる者を言うなり
また 唐物も持ち 目も聞き 茶の湯も上手
右の三か条も調おり 一道に志深ければ
名仁というなり
これ紹鷗の追加の判なり
その他 当代幾千万の道具 小道具まで
皆悉く紹鷗の目聞きを以て 好み出さるるなり

また、侘び数寄と言うのは
名物や唐物を一つも持たない者 
胸の覚悟一つ、創意工夫一つ、腕前一つ
この三つを兼ね備えている者を言う
この他に 唐物も持ち、目も利き、茶の湯も上手であり
さらに侘び数寄の3か条をも兼ね備えており 茶の湯に熱心であれば
名人と言う
これは紹鷗の追加したものだ
その他に 現在の幾千万の道具、細々とした道具まで
皆 悉く紹鷗の目利きによって好まれたものだ

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茶書を読む 山上宗二記 10

当世の堪能の先達 中古の開山なり
古今唐物を集め 名物の御厳り全く
数寄人は 大名茶湯というなり
また目聞きの茶の湯も上手にて
世上数寄の師匠を仕りて 身を過ぐる 茶湯者という

現在の茶の湯の楽しみは 平安時代の頃からである
古今の唐物を集め 名物を悉く飾り付けることが出来るような
数寄人を 大名茶湯と言う
また、茶道具の目利きに長けて
茶の湯の師匠を以て 生計を立てる者を 茶湯者と言う

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茶書を読む 山上宗二記 9

珠光の跡目 
宗珠 宗悟 善好 藤田 宗宅 
紹滴 紹鷗
右この衆 その跡を継ぐ
珠光は目聞きを能阿弥に問究し 即ち末子に相伝す
引拙の代までは珠光の風体なり
紹鷗の時 悉く改め 追加せしめ畢んぬ

珠光の跡目は
珠光の養嗣子の宗珠、十四屋宗悟 藤田宗理 金田屋宗宅 
竹蔵屋紹滴 (のちに利休の師となる)武野紹鷗
これらの人々がその跡を継いだ
珠光は目利きを能阿弥に習い そのまま末子に相伝した
引拙の頃までは珠光の茶風がそのままであった
紹鷗の時に、茶の湯について様々なことを改め、また、追加なさった

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茶書を読む 山上宗二記 8

東山殿ご他界の後
代々の公方様 これに等し
御同朋の流 芸阿弥 相阿弥 
先師を学ぶ
その後 御物天下へ打ち乱れ 下々の私物とす
今にこの一道絶えず 末世猶以て繁昌なり

義政様がお亡くなりになった後は
代々の公方様は同じようになさいました
同朋衆として能阿弥の子である芸阿弥、またその子の相阿弥を定め
義政様の時代の教えを学びました
その後、義政様がお集めになられた名物は流出し下々の物が所有するようになった
現在もこの御茶の湯の道は途絶えず、この先もますます盛んになって行くでしょう

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