この儀に依って 町人等 猶御名物と所持す |
京 堺の衆に珠光の弟子多し |
大形聞こえ候衆は |
松本 篠 道提 善法 古市の播州 西福院 引拙 |
これ等が類なり |
この事があって町人達も猶の事名物を所持するようになった
京都、堺には珠光の弟子が多かった
その中でも名高い者たちは
松本珠報 篠道耳 石黒道提 粟田口善法 古市播磨 最福院 鳥居引拙
こういった者達でした
くまちゃんぶたちゃんと一緒
この儀に依って 町人等 猶御名物と所持す |
京 堺の衆に珠光の弟子多し |
大形聞こえ候衆は |
松本 篠 道提 善法 古市の播州 西福院 引拙 |
これ等が類なり |
この事があって町人達も猶の事名物を所持するようになった
京都、堺には珠光の弟子が多かった
その中でも名高い者たちは
松本珠報 篠道耳 石黒道提 粟田口善法 古市播磨 最福院 鳥居引拙
こういった者達でした
その比 天下に御茶の湯仕らざる者は 人非仁に等し |
諸大名は申すに及ばず 下々 洛中洛外 南都 堺 悉く 町人以下まで |
御茶の湯を望む |
その中に 御茶の湯の上手 ならびに 名物所持の者は |
京 堺の 町人等も 大和 大名に等しく 御下知を下され |
ならびに御茶の湯座敷へ召され お咄の人数に加えらるる |
その頃、世の中で茶の湯を行わない者は 人で無いものに等しいという有様であった
諸大名は言うに及ばず 下々の洛中洛外、奈良、堺まで悉く、町人以下の者まで
茶会を催したがる
その中で、茶の湯の上手ならびに名物を所持している者は
京都、堺の町人たちも奈良に住まう者、大名にも等しくご命令なされ
茶室に召し出して御伽衆に加えられた
それに就き 禅宗の墨蹟を専ら用い |
一休和尚より珠光 圓悟の一軸を申し請け |
これを数寄の一種に楽しむ |
斯くの如きの時は 仏法もその中にありと |
深更に及び 涙を流し言上いたす |
公方様御感ありて 即ち珠光を召し上げられ |
師匠と定めおかれ ご一世の御楽しみはこの一興なり |
それに就いては 禅宗の僧侶の墨蹟を専ら用い
珠光は一休和尚に請うて 宋代の禅僧、圜悟克勤の書軸を譲り受け
これを風流の楽しみとして用いた
このような時は、仏の教えもその中にありますと
夜の遅くなるまで涙を流してお話申し上げる
義政様は感動し すぐに珠光を召し上げられて
師匠となさりました また、この遊興(茶の湯)を一生涯のお楽しみとなされた
御唐物の御荘りは四季に依りて 時に非ざる物を 眼前にご覧ぜらるるは |
併し御名物の御威光か |
その上 小壺 大壺 御花入れ 香炉 香合 御絵 墨蹟等 |
誠に案外の御覚悟に媚びたるお遊びは |
茶の湯に過ぎたる事はあるまじき など申し上ぐ |
唐物の飾り方は四季に依るが、時節に関係ないものを 賞玩できるのは
やはり名物であるからであろうか
その上、茶入、葉茶壷、花入、香炉、香合、絵画墨蹟等
誠に思い掛けず、真理を求めるという意に沿った遊興は
茶の湯ほどの物はないであろうなどと申し上げる
南都皇明寺に珠光と申すもの |
この御茶の湯に三十ヶ年 身上を擲ち 一道に志深きものにて候 |
その次に件の二十か条の様子 |
その外孔子聖人の道も学び 珠光と相談の密伝 |
口伝 残らず悉く申し上げ候 |
第一、雪の内には炉中の楽しみあり |
御釜の煮え音は松風をそねむに 春夏秋共に面白き御遊興これなり |
奈良の称名寺に住まう珠光という名の者
この茶の湯に三十年、財産をなげうち、ただ一心に茶の道に深く志す者で御座います
それから、例の二十か条(茶湯者之覚悟十体事及び又十体事)の様子
その他儒教など聖人の教えを学び、珠光と話し合って出来上がった秘密の作法
口伝いに教える作法など 悉く残らず申し上げなさった
まず、雪の季節には炉中の楽しみがある
釜の煮える音は松林の中を通る風を羨むがごとく 春夏秋いづれも面白い遊興はこれで御座います